カンペチェという場所を選んだ理由は、比較的大きな都市で、観光地なのに忙しすぎず、治安も比較的良さそうだなどがあるのだが、なんといっても滞在先が気に入ったからというのが大きい。
前回カンペチェに泊まった際に利用したアパートメントで、ベッドルームにキッチン(シェアでない)、トイレ、シャワー、洗濯ものが干せる広いバルコニー、さらに小さなバルコニーが別途ついている。無料インターネットは高速で、さらにネットフリックスまで見放題というのだから(オーナーには悪いが)自己隔離にはうってつけだ。
ビヤエルモサでPCR検査を受けたその足でカンペチェに向かったのだが、残念ながら、その当日は件のアパートメントは予約できなかった。それで1泊だけ、カンペチェのオールドタウンに近い小さなホテルを予約した。
ビヤエルモサからはシウダー・デル・カルメンまでがバスで3時間、カンペチェはそこからさらに3時間である。感染の疑いがある中でバスに乗るのは後ろめたいが他に手段はなく、仕方ない。ダブルマスクで、車内ではよほどの必要がない限り口を開かないと決めて乗車。なるべく咳やくしゃみが出ないように、咳止め用のキャンディーと多めの水を持ち込んだ。
到着したのは夕方で、ホテルのチェックインはスムーズにすませた。キッチンのない部屋だったので夕食は外で食べるしかなかったのだが、屋外スペースにテーブルを出しているカフェが近くにあり、そこで夕食をすませた。やっぱり野菜物は何もなくて、玉ねぎと肉だけのタコスと、肉だけが入ったチキンスープを頼んだ。チキンスープには刻んだ玉ねぎとコリアンダーがついてきた。その日の野菜はそれだけ。本当に自炊しないと病気になる。
私はこの夕食を摂っている時点で調子が悪くなってきていたので、食事はささっと済ませて部屋に戻った。その夜は発熱する予感があったので持っている長袖の服とショールを手元に置いてベッドに入った。
ワクチン接種時の副反応みたいな熱が出ると覚悟していたんだけど、確かに発熱はあったものの、夜中までにはピークを迎え、それほど高い熱は出なかったみたいだ。ただ、咳が出て苦しかった。それでも寝起きのスッキリさから考えると、睡眠不足になるほどでもなかったのかもしれない。
とにかく一番つらかったのは、このカンペチェ1日目で、希望のアパートメントに移ってからはゆるりと回復に向かった。
カンペチェ二日目、アパートメントに移動した。まだ少し咳が出る状態だったが、熱はなかった。その日はまだ、昼間よりも夜になって咳き込むことがあった。普段より疲れやすくはなっているがベッドから起き上がれないということはない。いそいそと食料品の買い出しに出かけた。
翌日、まだ咳が出るものの、喉の痛みはほとんど感じなくなっていた。咳も喉が腫れて出るという感じではなく、肺から咳き込むというのに近い気がした。やっぱりコロナだなーと思いながら、検査結果を待つ。
先にも書いたけど、このPCR検査で二人そろって陽性が出た場合、17日帰国フライトの空港で症状が出ていなければ飛行機に乗れるはずである。もし検査結果が陰性であった場合、フライト3日前に再検査を受け、陰性でなくてはならない。
もっとも面倒なのが、わたしたち二人のうち片方だけが陽性だった場合である。パライソでやった簡易検査のように、私だけが陰性だった場合、私のみフライト3日前検査を受けねばならず、それで陰性証明が出なければ飛行機に乗れない。しかし夫が陽性であるとしたら、これだけ一緒にいて感染しないでいられるものだろうか。
そうなるといっそのこと二人一緒に陽性であるのが最も望ましいということになるのだが。
ーーーワッツアップで検査結果を通知しますということだったが、予想通りまったく連絡はなく。
検査時にもらったユーザー番号とパスワードで検査会社のウェブサイトにログインして結果を確認したのは、土曜日の夕方だった。結果は二人とも陽性だった。
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