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モンゴルで酔っ払いに絡まれた話-長距離バス6時間の旅

モンゴル人の酒癖の悪さは、世界的にもけっこう有名な話らしい。まあ、日本人の酔っ払いも、どんなものかと思いますが。

酔っ払いに絡まれても、逃げ道があればいいわけですが、今回はモンゴルで経験した長距離バスのなかでの話です。

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モンゴル人の飲酒習慣について

モンゴル人の飲酒習慣は、かなり激しいようです。真冬の気温が-50度まで下がるという気候条件、そして、遊牧で生計を立てる人々にとって、冬場は自由時間が多すぎてしかも他に娯楽も少ないという環境が、そうさせているのかもしれません。

モンゴルで一般的に愛飲されているのはウォッカです。ウォッカというとアルコール度数が高く、無色透明、ほとんど無味無臭のスミノフのようなタイプを想像すると思いますが、モンゴルのウォッカはどちらかというと焼酎に近いような感じです。

有名なのは、チンギスウォッカというブランド。私が見かけたものには、ホワイト、ブラック、ゴールド、プレミアムというグレードに分かれていました。アルコール度数は49度。

原材料を見ると、麦(Wheat)と書かれていました。確かに麦焼酎のような感じで、香り控えめ、やや甘みがあり、飲みやすいです。ホワイトが一番甘口だったと記憶しています。

モンゴルの街を徘徊する酔っ払いたち

スーパー,ウォッカ,ジンギス

スーパーのモンゴルウォッカコーナー、チンギスウォッカ

モンゴルでは、基本的に昼間から酒を飲んでいても、社会的に黙認されている風潮が残っているようです。それは地方に行けば行くほど容認されているように思えました。

ウランバートルのような都会でも地方都市でも、町中に昼間から酔っ払い(アルコール中毒者)がふらふら徘徊しています。彼らの中には、安酒のために内臓を傷め、実年齢よりひどく老けてしまって見える人もいると言います。

ゲストハウスのレセプションで、受付スタッフと話をしていても、酔っ払いがふらふらと歩いて入ってくることもありました(かなり、面倒くさいです)。

私が住むモントリオールでも、アル中だけでなく麻薬中毒者が街を徘徊していることがありますが、モンゴルの場合、これらの酔っ払いは100%男性です。友人に聞いたところ、モンゴル女性もお酒は飲むそうで、かなり飲める女性も多いようですが、私の印象としてはあまり公の場でお酒を飲むモンゴル人女性はまだ少ないように思いました。

長距離バスの中で

街をふらつく酔っ払いは避けて通ればすみますが、なかなか逃げられなくて困ったのが、長距離バスの中で酔っ払いに絡まれたときです。

ジャルガランという小さな村から、モロン(ムルン)へバスで移動した時のこと。

タリアトからムルン(モロン)方面への公共交通手段はありません。ですので、タクシーチャーターが一般的です。ムルン(モロン)までの途中に...

ジャルガランからモロン(ムルン)までは約180㎞ですが、舗装されていない凸凹道を進むので、5~6時間かかります。私たちがバスに乗り込んだのは午後2時半でしたが、バスは乗客がいっぱいにならないと発車しません。

バスは村の中をぐるぐる徘徊しながら乗客をピックアップしますが、その客の中に、もうすでにいい加減に酔っぱらっているモンゴル人男性が二人…。

彼らはかなり出来上がっていて、乗り込んでまもなく、他の乗客と一人一人握手をしながら、モンゴル語で何かあいさつしています。このときの乗客は、私たち夫婦以外に、お腹の大きな若い女性一人、モンゴル人の中年男性一人と老人一人、そして酔っ払い二人組です。

車内でも酒盛り

ジャルガラン、モロン(ムルン)行きのバス


撮影場所:48°34’59.4″N 99°21’05.4″E

日本なら乗車拒否されるぐらいひどい酔っ払いぶり。私はひそかに車内でおとなしく眠ってくれることを祈りながら、バスはその村を出発しました。しかし彼らは眠るどころか、チンギスウォッカのホワイトボトルを取り出し、バスの中で酒盛りを始めたんです。

酒盛りと言っても、デコボコのひどい車内なので、ボトルの回し飲みです。二人だけで飲むだけでなく、他の乗客にもしつこくウォッカをすすめてまわり、あげくの果てに妊娠している女性にまで、飲めと迫る勢いでした。

他の乗客、モンゴル人男性と老人は、付き合い程度にボトルに口をつけていました。後から考えると、すすめられたお酒を断るのは、モンゴル礼儀に反するものなのかもしれません。

私たちは旅の途中で悪酔いしたくなかったので、二人ともお断りしたわけですが、これが彼らには気に入らなかったようです…。

車内灯の蓋を盃にする

ボトルの回し飲みでは味気ないと思ったのか、おもむろにバスの車内灯のガラスカバーを取り外し、それを盃のようにして酒を乗客に勧め始める二人組。

そもそも、バスは、捕まっていないと体を支えるのにも苦労するような揺れです。その中で、彼らがボトルはともかく、シャーレのような車内灯蓋の中のウォッカを器用にこぼさずにいるのには、感心しました。

二人組のうち、特に年配の男性の方がたちが悪く、私にも携帯で写真を撮ろうとか携帯電話の番号を教えろとかうるさいので、私たちはもう早い段階からうんざりしていたわけです。

当然、どんなにすすめられても(ウォッカは好きですが)、いっしょに酒を飲む気にはならず、お断り。

トイレ休憩の村でも酒を飲む

途中、小さな村に泊まり、トイレ休憩となりました。私はバスの中にとどまり窓から眺めていると、彼らは外でまだその村人と酒を飲んでいる。しかも、今度は運転手にもウォッカを飲ませる始末。いやいや、本当にモンゴル人の酒のみはタチが悪い。

トイレ休憩が終わり、みんなバスに乗り込みました。そうすると、今度は泣きが入った様子。

酔っぱらっている彼は、老人に向かって何かブツブツと言いながら涙を流しています。まるで、コメディ映画にでも出てくるような、典型的な酔っ払いの行動パターンです。老人の方も、よしよしと頭をなでてあげたりして、適当にあしらっていました。

車内はだんだんと微妙な雰囲気に

モンゴル、草原、何もない、トイレ

何もない草原が広がる

私の旦那の方も、「いい加減にしろ」的な雰囲気を出していたのを感じたのでしょうか。その酔っ払いは、だんだんと私たちに攻撃的になってきました。何事かをモンゴル語でつぶやきながら、うちの旦那に向かって敵意をむき出しにしてきたんです。

あげくの果てに、殴りかかるようなポーズをしたり、そのこぶしを周りの乗客に押さえられると、今度は足を蹴りだそうとしてきたりして、車内は一気に険悪な雰囲気に。

ここで、読者の方は、そこまで酔っぱらってるなら途中下車させればいいのに、と思っているかもしれません。私も内心、ドライバーが彼を下車されることを望んでいました。

しかし、トイレ休憩の小さな村を除いて、モロンまでの道のりは、ただただ、広がる草原です。人家も何もなく、わずかな草が生える乾燥地帯。

このときの季節で夜の気温はマイナス2,3度まで下がります。そんなところに、酔っ払いを放り出せば、凍死しなくても、間違いなく病気にはなるでしょう。同じ村出身のドライバーに、そこまでできないのも理解できます。

急ブレーキでも酒をこぼさない

このとき、さすがに、外国人である私たちに対する酔っ払いの態度に、ドライバーが何か注意してくれたようでした。しかし、それに腹を立てたのか、酔っ払いはドライバーに悪態をつき、バスは急ブレーキ!

後部座席に乗っていた私たち乗客全員、前のめりになり、酔っ払いの暴行未遂から体を避けようとしていた私の旦那は、運転席へゴロンと転がりそうになりました。

それでも、チンギスウォッカの中身はこぼさない、ボトルを死守するモンゴルの酔っ払い。

ドライバーが車から降りてきて、二人組に直接注意しているような会話があり、それでも途中下車にはならず、再出発に。

6時間のバス移動

モロンの街、チンギスホテル

そんな急ブレーキが2度ほど繰り返されたにもかかわらず、酔っ払い男性の態度は変わらず。二人組の片方は、レスリングが趣味な若者で、飲んでいる割にはしっかりしている。彼が、その男性をおさえてくれていたので、けっきょく暴力沙汰にはなりませんでした。

しかし、そうやっているうちに、付き合ってチビチビ飲んでいた乗客の中年男性もだんだん酔いが回ってきた様子。若い妊婦さんにすり寄り、ベタベタし始めてしまったりして…。

私たち夫婦もお酒は好きですが、6時間のバス旅の中、逃げられない状況で酔っ払いに絡まれるのではたまりません。

彼らがバスに乗り込んできた当初は、「ハードリカーを飲んで酔っ払うのは、残念ながらモンゴル文化の一部分だからね」と言っていた旦那も、相当辟易した様子で「トラウマになりそうだ」と語っていました。